全国知事会 改憲案 法的分析等(検討中)


 全国知事会の改憲案について分析しようと思う。改正内容は第八章「地方自治」が主となるが、国会の参議院議員の選挙制度の枠組みなども改正しようとしている点で、【統治規定】の章を跨ぐものである。

 

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 地方自治体の組織や運営を定めた92条を「住民は(中略)自らの意思により地方自治に参画する権利を有する」とするなど

 参院選で二つの県を一つの選挙区にする「合区」を解消するため、選挙区を都道府県単位にするよう47条の改正

(合区問題)
・参院議員の選挙で選挙区を設置する場合は、広域的な地方公共団体ごとの区域を単位とする選挙区を含まなければならない
(地方自治のあるべき姿)
・地方公共団体の住民は、自らの意思により地方自治に参画する権利を有する
・地方公共団体は、住民に身近な公共的事務について処理する固有の権能を有する
・国は国家の存立に関する役割を担い、国と地方公共団体との間で適切な役割分担を派ならなければならない
(課税自主権)
・地方公共団体は固有の財源として、条例に基づき税を課し、徴収することができる
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全国知事会が地方自治や参院選挙区に関する改憲案公表 2017年11月24日


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 このうち、去年の参議院選挙で導入された「合区」については、自治体を代表する議員が選出されず解消すべきだとして、憲法47条に選挙区は都道府県を単位とすることを明記しています。

 また、地方自治の在り方をより明確にすべきだとして、憲法92条に、市町村都道府県、それに、東京23区の特別区という3つを規定しています。
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全国知事会 参院選の合区解消などの憲法改正草案を公表 11月24日


 記事の要約の情報であるが、「地方公共団体の住民は、自らの意思により地方自治に参加する権利を有する」などの文言は、なぜ第三章「国民の権利及び義務」の章の中に国民の権利として記載しないのか問題となるだろう。地方自治が統治規定としての制度的保障の範囲から逸脱し、地方自治そのものが憲法中に新たな「住民の権利」という区分を設けたこととなると思われるからである。

 記事の要約の情報であるが、「国は、国家存立に関する役割を担い、…」とあるが、国は人権保障のために設けられた機関であり、国家存立はその目的達成のための手段である。そのため、「国は、国家存立に関する役割を担い、」という文言では国の役割を的確に示したものではない。行政機関である厚生労働省や裁判所も「国」に属した機関であり、国家存立に関する役割を担うというのは意味が通じないからである。また、「国」というものは、多義的な言葉であり、広くは地方自治体をも民間機関と区別する意味では「国」の定義の中に含まれることがある。なぜならば、地方自治体でさえも法律によって組織される団体であり、法律は「国会」という国の機関で制定されるものだからである。「国の存立に関する役割」という言葉自体が、意味不明確である。


 「適切な役割分担」などについて、



 PDF資料を見ても、地方自治体の機能について色濃い姿勢が見られるが、もともとは国民の人権保障のための一機関であり、独立した人権保障メカニズムを有する独自の統治機関ではないことを認識し直した方がいいように思われる。

 地方自治の機能強化などを行いたいとの趣旨であると思われるが、まず、「国民の人権保障のために何をするべきか」という理念で考えるべきであり、現在の地方自治法の地方自治制度を単に「権限拡大を行いたい」という考えであるならば、それは手段が目的化してしまったようなものである。


 (今後も、検討します。ありがとうございました。)


<理解の補強>

平成28年11月28日 憲法と地方自治研究会報告書について 全国知事会
全国知事会 Wikipedia

シリーズ憲法の論点10「地方自治の論点」 PDF

憲法の岐路 知事会改憲案 生煮えで示されても 2018年1月8日

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